「慶應医学賞」は、慶應義塾大学が医学や生命科学の分野で優れた業績をあげた研究者に贈る国際的な賞で、受賞後にノーベル賞に選ばれる研究者も多いことで知られています。
ことしは、ロンドンに本社のある「DeepMind」社のCEOで、ことしのノーベル化学賞に選ばれたデミス・ハサビス氏と、京都大学高等研究院教授でヒト生物学高等研究拠点の拠点長を務める斎藤通紀氏の2人が受賞し、20日、東京 新宿区で開かれた授賞式で賞状やメダルなどが贈られました。
このうちハサビス氏は、アミノ酸のつながり方をAI=人工知能に学習させることで、長年難問とされてきたたんぱく質の立体構造を高精度に予測する「アルファフォールド」というコンピュータープログラムを開発し医学や生物学の研究に革新をもたらした功績が評価されました。
式典でハサビス氏は、同僚や研究を支援してくれた人々に感謝を述べたうえで「今後10年で、AIは科学の多くの分野で使われるようになるだろう。もし私たちがAIを科学分野に活用し続ければ、『発見の黄金期』に突入すると思う」と述べました。
また斎藤氏は、次の世代に遺伝情報を伝える「生殖細胞」が作られるために必要不可欠な分子を発見し、試験管の中でマウスのiPS細胞から精子や卵子を作り、受精させてその後、個体まで育てることに成功するなど生命の誕生に関する研究を大きく前進させたことが高く評価されました。
斎藤氏は「小学生ぐらいのときになぜ人間は不死身ではないのかと疑問に思ったことが動機になっている。これからも人間の体内で生殖細胞がどのように作り出されるのか、研究を続けていきたい」と話していました。